Wednesday, October 01, 2008

厳格な成績評価考

成績評価は、もちろん建前としては公平公正に行われなければならず、受講生の成果や能力をきちんと示したものでなければならない。

しかしその建前が従来から当然のものとして守られていたかというと、そうではなかったということに異論はないはずだ。学生時代を経験した人なら誰しも、成績は先生によって基準がまちまちだし、情実ともいわれかねない要素が入り込む余地はいくらもあり、大学院の成績ともなれば優が当たり前、良を付けるというのはよっぽどさぼったか、逆らったかといわれていた。学部の成績はそれでもまだ試験に基づいて付けるので客観性がないわけではないが、ずいぶん前に明治大学で必修科目の民法の単位を大量に落としたことが騒ぎになってマスコミで報じられたことにも現れているように、必修の単位で「不可」を付けることも付けられることも大事件と見られていた。

そのような状況であってことは、「法科大学院では厳格な成績評価が求められる」とわざわざいわなければならなかったことにも現れているのである。

ではその法科大学院ではどうかというと、確かに以前よりは厳しめの成績評価となったことは事実である。

さて、現実はどうか?

現実には、留年率・卒業率がそれほど高くも低くもないように、それなりに厳しくなっている。それも学部生の場合は一定割合のサークル入れあげ学生が留年率を高めていたのに、そのような要素がない法科大学院で2割の留年が出るというのは厳しく評価している証左でもある。
しかしそれが十分な厳しさといえるかというと、今度は新司法試験合格率との乖離を指摘せざるを得ない。出来のあまり宜しくないロースクール生を大量に卒業させているからこそ、合格率は低くなる。

厳格な証拠評価が成り立つには、前提として十分な教育効果が上がることが必要であり、教育はしないけど成績評価は厳格というのでは教育機関の名が泣く。もちろん最低限備えておくべき知識すらない、理解が全く覚束ないという学生をベルトコンベアのように卒業させるのは厳に慎むべきだが。

また3年という年限が先にあり、その中にも実務基礎や展開先端などの盛りだくさんな選択必修が詰め込まれているので、基礎的な法学基本科目を十分訓練できないという問題もある。そのような中での厳格な成績評価というのは、なかなかやりにくいのだ。

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